今回の話題は、前にも少し触れましたが、「絵の具の話」です。

 

今私が取組んでいる「津軽デジタル風土記」は、ねぷたの見送り絵の温故知新を目的にしていますから、最終的にはロー(蝋)をつけ、染料で彩色して本体骨組みに貼付することを念頭に、あまり突出した色使いにならないようにしています。

それでも、本番のねぷたのように限られた色数ではなく、多くの種類の色を使うことで作品間の違いを強調したり、当時の小道具の再現をより現実化・具体化することが可能となるよう心掛けています。

 

そのため、色具合が均一になるよう、日本画用絵の具の「鉄鉢(てっぱち)」に限定して描いています。

鉄鉢は、顔料に膠(にかわ)やでんぷんなどを加えて練り、容器に入れて乾燥させた固形絵の具で、円いお皿に入ったものいいます。


これは、僧侶が托鉢で食物を受け取るのに使う入れ物の鉄鉢(てっぱつ)に形が似ていることから、この名が付いたといわれています(読み方が違います)。


鉄鉢採用の理由は、あまり派手ではない落ち着きのある色合いになっていることと、退色しにくいからです。

 

使い方は、水を含ませた筆で鉄鉢の表面をなでて、色をすくい取り、絵皿や梅皿(うめざら・梅の花の形をした白色の陶器皿)などに移してから、水で好みの濃さに調節するだけです。

色にもよりますが、おしなべて透明度が高く、色の伸びがよくしかも長期間保存ができます。


ただ、チューブに入った水彩用の絵の具と違い、面白いことにそれぞれの色で相性があり、3色以上を混ぜると色が汚く濁る特徴があります。

重ね塗りをすることはありますが、あくまでも色は混ぜないで使います。

 

「鉄鉢」の色名はメーカーにもよりますが、

青金(あおきん)・赤金(あかきん)・銀(ぎん)・胡粉(ごふん)・黒(くろ)・朱(しゅ)・紅(べに)・紅梅(こうばい)・洋紅(ようべに)・牡丹(ぼたん)・円子(えんじ)・黄(き)・濃黄(こいき)・雌黄(しおう)、 

美草(びぐさ)・黄草(きぐさ)・青草(あおくさ)・若葉(わかば)・白緑(びゃくろく)・緑青(ろくしょう) 濃草(こいくさ・群青(ぐんじょう)・藍(あい)・白群(びゃくぐん)・紫(むらさき)・黄土(おうど)・岱赭(たいしゃ)・煤竹(すすたけ)・焦茶(こげちゃ)などがあります。

以上は、私が使っている京都老蘭商会の鉄鉢です。


他社製品では、赤朱(あかしゅ)・黄朱(きしゅ)・鶯緑(うぐいすみどり)・濃緑(こみどり)・群緑(ぐんろく)・赤紫(あかむらさき)・美藍(びあい)・水(みず)・紺青(こんじょう)など、いかにも日本画用の絵の具らしい呼び方と色塩梅のものがあります。

色はまだまだ種類があり、この色だけについて述べているブログを開設しいている方もいるほどで、奥深いものです。

 

今日の絵は、張飛です。


張飛は、三国志の中で最も有名な一人でかつ人気の武将です。


絵として多くの武将の絵がありますが、私的にはこの張飛が一番のお気に入りです。

実際の張飛は、若いころは短気ですぐ激高したようですが、蜀が建国される頃から落ち着き、思慮深い武将に変身したようです。

6号 張飛

6号金色色紙

三国志 蜀 車騎将軍(しゃきしょうぐん) 張飛(ちょうひ・zhāng fēi ・?~221年)


私は、張飛を描く時、鎧の模様を必ず「亀甲(きっこう)模様」にすることに決めています。

他の武将の鎧は、時々に応じて「組み亀甲模様」等にすることにしています。あまり考えなくても統一性がでるので、学生時代からこうしています。


組亀甲模様
組み亀甲模様


亀甲模様

亀甲模様

       この項おわり