今回は、津軽デジタル風土記ねぷた見送り絵リブート展から「石言遺響(せきげんいきょう)」の清道禅尼(せいどうぜんに)です。

これは、文化2年(1805年)に刊行された曲亭馬琴(滝沢馬琴)作の読本で、これまた葛飾北斎の弟子の蹄斎(ていさい)北馬(ほくば)が挿絵を担当しています。


説明(国文学研究史料館木越准教授)→


日野良政の妻・月小夜姫が尼となった姿。


後醍醐帝の倒幕計画を果たさずに死んだ日野俊基の娘。


亡霊となった父や万字前(鏨:たがね)などに翻弄され、苦難の一生を送りながらも、小石姫と香樹丸の二人の子を育てる。


本作は『太平記』の世界を背景に、小夜中山伝説、具体的には『小夜中山霊鐘記』(寛延元〈
1748〉年刊)を下敷きとした物語。

 

また、前話同様挿絵の「蹄斎北馬」は、北斎の門人。

19世紀前半を通して、狂歌絵本・摺物等を多く手がけるとともに、肉筆美人画も得意とする。


読本の挿画も多く残されている。

師の影響を受けつつも、後年はそこから脱し、独自の画風を確立した(前出の木越准教授)。

石言遺響 清道禅尼

清道禅尼


この絵は、長谷川先生の見送り絵下絵集にあって、先生としては大変珍しいことに下絵に「清道禅尼」と正しく出典が書かれれています。


珍しいとは先生に叱られます(出典が下絵に書かれているのは3~4枚程度なので←言い訳です)。

やはり、以前も書きましたがNHKの元禄太平記の放映に合わせ、本番のねぷたでは大石内蔵助の妻りくに変身していました。

ただ、それで全く違和感を感じさせない見事なチョイスだと思います。

今回私は、元絵を基に上掛けの袖や裾を修正し、全体に少し太らせました。

 

次話は上述の鏨(たがね)です。