今回も長谷川達温先生33回忌遺作展の展示内容の紹介で、日本武尊(やまとたけるのみこと)の続きです。
この日本武尊の組み絵は、2人絵の鏡絵として達温師が好んで描いた最もポピュラーな絵の一つです。
少し見にくいのですが、先生が鉛筆で描いたねぷたの下絵が残っているので掲載します。
これは、小碓命(おうすのみこと)と名乗っていたヤマトタケルが女装し、熊襲(くまそ)の首長のクマソタケル兄弟の寝所に忍び込み、これらを討ちとった図です。
古事記によれば、この時の強さをたたえて「日本武尊」の名を弟タケルが献上したといいます。
元絵は、幕末から明治前期に活躍した浮世絵師「月岡芳年(つきおかよしとし)」の明治16年~18年に刊行された32種類からなる大判錦絵「芳年武者无類(よしとしむしゃぶるい)」の中の1枚です。
歌川国芳を師とした芳年は、明治期多数の門人を抱え、近代日本画の巨匠「鏑木清方」の子供の頃から目をかけていて、鏑木も良く芳年宅に遊びにいっていたのは有名な話です。
ちなみに、芳年の弟子に水野年方、その水野の弟子に鏑木清方、池田輝方らがいて、鏑木清方の弟子に伊東深水や女性日本画家の柿内青葉などが続いています。
なお、達温先生の作品は、現在補修のため表具師さんのところに入院しているので写真掲載はありません。
遺作展では、補修が終わった先生の墨書きの作品を展示します。
墨描きで彩色はされていませんが、個人的には今回遺作展で最も好きな絵、目玉作品の一つと思っているので、ぜひ遺作展におでかけになりご確認下さい。
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